最新情報
[TOP]
Hospital Water Hygiene研究会からのお知らせ

Water Hygieneに関する最新の情報などをお知らせいたします。
[記事紹介]病院における給排水設備の衛生管理 バイオフィルムとの闘い
2024年3月4日 16時58分
6月2日に当研究会事務局長の黒木先生による記事がNPO給排水設備研究会で発行された40周年記念出版記念誌に掲載されました。
タイトル:病院における給排水設備の衛生管理 バイオフィルムとの闘い
概要:
1.病院の特徴
2.BFの特徴
3.給排水設備が関連する院内感染
4.対策

内容についてご確認される場合は末尾の「記事を確認する」をクリックしてください。PDFファイルをご覧いただけます。

こちらの記念誌の入手方法などの詳細につきましては、以下のリンクよりご確認ください。

創立40周年記念誌「水の未来 ―過去から現在、そして未来へ続く水の営み―」販売のおしらせ

本件に関してまして、NPO給排水設備研究会から転載のご許可をいただいております。
記事紹介
我が国の医療機関における水系感染予防に対するPOUフィルターを装着したシャワーヘッドの効力と有用性
2021年5月14日 09時00分
Efficacy and Effectiveness of Showerheads Attached with Point-of-use (POU) Filter Capsules in Preventing Waterborne Diseases in a Japanese Hospital
(国内の医療機関での水系感染疾患の予防におけるPOUフィルターを装着したシャワーヘッドの効力と有用性)
Biocontrol Science, 2020, Vol. 25, No. 4, 223—230
Teppei Sasahara, Masanori Ogawa, Itaru Fujimura, Ryusuke Ae, Koki Kosami, Yuji Morisawa
https://doi.org/10.4265/bio.25.223

論文の概要
水道水には院内感染の原因となる病原体が存在しており、水道水の微生物汚染は医療機関において懸念が広がっている。シャワーユニットは細菌増殖を助長し、特に微生物汚染が多く発生する。ポイントオブユースフィルター(POU)とシャワーユニットの組み合わせはシンプルでかつ安全を確保するための対策の選択肢の1つである。そこで、院内における感染予防を目的として、3セットのシャワーヘッドを用いて2ヶ月にわたる観察によりPOUの有用性を調べた。POUフィルターを装着しない場合は生菌数は370~430 CFU/100mlであったが、POUフィルターを装着して装着時、1か月後及び2か月後に生菌数を調べたところ、装着時に1セットのシャワーヘッドからStaphylococcus epidermisが1 CFU/100ml、2か月後に他の1セットのシャワーヘッドからS. capitisが2 CFU/100ml検出されたのみで、それ以外は生菌は検出されなかった。また、POUフィルターの効力を検討するために3菌種の標準株(Brevundimonas diminuta ATCC 19146, Klebsiella pneumoniae BWH2 (NR-41897), Pseudomonas aeruginosa ATCC 10145)を用いて、それぞれの浮遊液(880 CFU/ml, 530 CFU/ml, 740 CFU/ml)を5Lずつ作成し、全量をPOUフィルターでろ過した。その結果、ろ液からは菌は検出されなかった。POUフィルターにより医療機関における水系感染症を最小限に抑え、患者のケアを向上させることができると考える。

研究会からの解説
シャワーヘッドやホースの内部にバイオフィルムが形成され、Legionella, Mycobacterium, Pseudomonasなどの院内感染の原因となる病原菌が増殖する。これまでにこうした病原菌による感染事例が多く報告されている。また、シャワーはエアロゾルの発生源となるため、本来厳しい管理が求められるデバイスである。そこで、シャワーを毎日通水し、さらにシャワーヘッドとホースを月に1~2回、塩素消毒する、あるいは60℃以上の高温水を30分以上通水することが推奨される。これに加えて、POUフィルターを装着したシャワーを使用することでシャワー水に含まれる病原菌等を取り除くことができ、POUフィルターの使用は欧米では広く普及している。
論文紹介
[論文紹介] 日本における患者の移入前の新設病院での蛇口水のレジオネラ汚染
2020年6月11日 10時00分

6月2日に当研究会代表世話人の中村造先生らによる論文がInfection Control of Hospital EpidemiologyにLetterとして掲載されました。論文の概要と当研究会による解説を以下に示します。 論文へのリンク

日本における患者の移入前の新設病院での蛇口水のレジオネラ汚染

I Nakamura, Y Miura, A Umeda, R Imura, Y Watanabe, H Watanabe: The Legionella contamination of tap water in a brand-new hospital in Japan before patients move in. Infection Control & Hospital Epidemiology (2020), 1 doi:10.1017/ice.2020.79


[論文の概要]
国内の大手建設会社により新築された東京医科大学病院の地上19階、地下3階建て、905床を有する新棟に患者が移る前に、レジオネラ汚染の調査を行った。27の水道蛇口、18の自動水栓、16のシャワーの合わせて66か所から500mlの水、122試料を採取し、WYO培地を用いて培養した。全試料のうち、高層階で採取した1試料からLegionella feeleiiが検出された。
 この調査は、平常業務を始める前の新設ビルの水道の蛇口におけるレジオネラ汚染の最初の報告となった。一度病院の業務を開始するとしつこくとどまり、広がっていくことができるレジオネラ属菌が増殖するリスクに、新築病院の水システムであっても建設中に曝されている可能性を考慮してこなかった。




[研究会による解説]
 これまでの病院やホテル等でのレジオネラ汚染調査では、建物の経年と汚染に関連があるとする報告が知られている。しかし、今回の調査では業務開始前の建物において既にレジオネラ汚染が発生していたことを示している。
 L. feeleiiは検出例が少ない菌種であるが、1981年8月にカナダの自動車工場で本菌種を原因とするポンティアック熱の集団発生があり、317人の患者が報告されている。レジオネラ肺炎の起因菌でもあり、国内では患者からの分離例が1例ある。また、神奈川県内の医療機関の蛇口水から検出された例も報告されている。水環境からL. pneumophila以外のレジオネラ属菌が検出された場合に注意すべき点は、菌が検出された環境にはレジオネラ属菌が増殖する条件が整っていることを示しているということである。検査した時点ではL. pneumophilaが検出されなくても、将来的にL. pneumophilaが検出されるようになる可能性があり、レジオネラ属菌が増殖しないように対策を講じる必要がある。


レジオネラ汚染新設した病院論文紹介
新型コロナウイルス感染症対策で使用停止した建物や施設の再開時のレジオネラ感染の危険性
2020年5月13日 09時00分
COVID-19の患者発生等により3週間あるいはそれ以上の期間、使用を停止した建物や施設では給水・給湯系その他の水環境が全く使用されない状態になります。これにより配管中の水は滞留し、レジオネラ属菌が増殖してレジオネラ感染症の患者が発生する危険性が報道されています。

記事にリンク

使用再開時にはすべての蛇口のフラッシングにより配管中の水をすべて新しい水に置き換える、給湯系では設定された温度になるまでフラッシングするという操作が推奨されています。水道水のみならず、冷却塔と冷却水管及び関連する設備も適切に管理されていることを確認した上で洗浄・消毒し、建物の使用を再開することとされています。
 わが国においても、建物全体あるいは入居する施設が数週間にわたり使用停止を余儀なくされている多くの事例があります。そうした建物や施設の使用再開においては、滞留した水やレジオネラ属菌が増殖しやすい配管や設備に配慮して、フラッシングや洗浄・消毒などによりレジオネラ感染症のリスクを低減させる必要があります。
COVID-19レジオネラ感染記事紹介
講演情報(第35回日本環境感染学会総会・学術集会)
2020年1月21日 10時00分

2020年2月14日(金)から2日間、パシフィコ横浜(神奈川県横浜市)で開催される「第35回日本環境感染学会総会・学術集会」において当研究会 代表世話人の中村造先生による講演がございます。

日時:2020年2月14日(金)15時50分~16時40分 
場所:パシフィコ横浜 第2会場(会議センター1階 メインホール)
演題:「病院の水道やシンクに潜む微生物伝播の認識と、その管理方法」

第35回日本環境感染学会総会・学術集会 http://www.congre.co.jp/35jsipc/
セミナー学術集会
第1回学術集会
2019年11月23日 18時00分
11月23日東京医科大学病院 臨床講堂で開催された第1回学術集会はおかげさまで多くのご参加をいただき、無事盛会のうちに終了いたしました。


ご参加いただきました皆様、ご協力いただきました関係者の皆様に、心より御礼申し上げます。
シンポジウム学術集会